2018年10月7日
岡山県倉敷市が国産帆布の7割を占める帆布。私たちには馴染みの深いものですが、一般の方には見慣れない字面の、聞きなれない言葉かもしれません。
読み方は「ほぬの」ではなく「はんぷ」。帆布がどのようなものなのか、何に使われているのか、さらには特徴や歴史なども併せてご紹介していきます。
帆布とは、ひと口に言ってしまえば織物の種類です。別名は「キャンバス」。こちらの方が耳に馴染みのある言葉かもしれませんね。
糸を撚(よ)り合わせて平織りした丈夫な生地で、麻や綿、ナイロンなどの合成繊維を用いることが一般的です。「撚る」とは糸やひもなどをねじり、互いに巻き付けることを言い、「平織り」とは経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせる織り方を指します。平織りは簡単な織り方のため、さまざまな品に広く使われています。
一般的とは言えない帆布ですが、実はさまざまなものに使われています。
例えば
そのほかにも鞄や靴、小物などにも姿を変えます。資材から日用品まで、実に多様な品に使われているのがお分かりいただけると思います。
なぜ帆布がさまざまな物に使われるのか。理由は製品の特徴に由来します。それは、とにかく丈夫なこと。これこそが帆布の大きな特徴であり、人々に重宝される一番の理由です。
先に少し触れた平織りは、丈夫で摩擦に強い性質を持っています。加えて糸を撚り合わせる織り方をしていますので、他に類を見ないほど丈夫な織物に仕上がることになります。使われている品を見ても、丈夫であることが条件と言わんばかりのラインナップですね。
使い込むほどに味が出て、柔らかくなることも特徴のひとつ。ちょうど本革のような特性を持っていますが、エイジングが本革よりも早いのはうれしいポイントです。つまり、使い始めてすぐに風合いの良い生地になるということ。
通気性がいいこと、水が浸透しづらいことも帆布の特徴。このふたつを備え持つ素材は、なかなかに珍しいと言えます。鞄や靴にも使われる帆布ですが、それらに適した素材であることも頷けますね。
大きさを表す単位に「号数」というものがあります。釣り針などもそうですが、帆布の厚みも号数で表します。数字によって生地の厚さが変わり、数字が小さい方が厚い生地。小さい方が厚いというのが、少しややこしいですね。
数字は0号から11号まであり、0号が最も厚く、11号が最も薄い生地ということになります。
下記は号数と厚さの関係を記した一覧表です。
号数 | 原糸 | 密度 | 重量 | |||
番手 | 経糸撚り数 | 緯糸より数 | 経糸 | 緯糸 | g/m2 | |
1 | 10 | 7 | 8 | 28-32 | 18-22 | 1014 |
2 | 10 | 7 | 7 | 28-32 | 16-20 | 941 |
3 | 10 | 6 | 6 | 28-32 | 19-23 | 867 |
4 | 10 | 6 | 5 | 29-33 | 18-22 | 794 |
5 | 10 | 4 | 5 | 32-36 | 23-27 | 720 |
6 | 10 | 4 | 4 | 32-36 | 23-27 | 647 |
7 | 10 | 3 | 4 | 34-38 | 24-28 | 573 |
8 | 10 | 3 | 3 | 34-38 | 24-28 | 500 |
9 | 10 | 2 | 3 | 44-48 | 33-37 | 510 |
10 | 10 | 2 | 2 | 45-49 | 34-38 | 428 |
11 | 10 | 2 | 1 | 43-47 | 39-43 | 343 |
帆布の始まりは古代エジプトと言われています。彼の時代が一体いつ頃のことを指すのかは諸説ありますが、紀元前3000年~紀元前30年ごろという見方が一般的。一説ではそれ以前も含めるという考えもあるようですが、いずれにせよ、古くから人々が帆布を利用していることは間違いないようです。
「帆」の文字が表す通り、船の「帆」として使われるようになったのが帆布の始まり。当時は亜麻(あま)の帆布が使われていたようです。親しみやすい装飾用語に置き換えると「リネン」のことですね。
日本へ伝わったのは江戸時代の末期。帆布発展の立役者となったのは「工楽松右衛門」という人物でした。船頭であり発明家でもあった彼は、足の速い船を作るため帆に改良を重ねることにより、未来への礎を作りました。
当時の和船は、帆に「むしろ」を使用していました。藁のことですね。もちろん丈夫なはずもなく、幼いころから創意工夫を得意としていた松右衛門からすれば、不満材料の多い製品だったのでしょう。
帆布がテントや小物に化けたのは明治時代以降のこと。貨物列車のシートや牛乳配達に使われる袋など、その用途はさまざま。戦時には軍服にも使用されています。
現在、帆布が資材や装飾品をはじめ、身近な品に姿を変えて人々を豊かにしていることは、冒頭でお伝えした通りです。
帆から生まれた帆布の魅力を、多くの人々に伝えていきたい。私たちは、日々そんな想いを胸にお仕事をしています。
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